遺言書と相続の基本を確認しよう
ご自分が亡くなった後のご家族に負担がかからないように、またご自身の意思を亡き後に残したいと、遺言書を検討される方が増えているように思います。
しかし遺言書を作成される際に、相続の知識がなかったがためにトラブルになってしまう場合もありますので、気をつけましょう。ここでは「自筆証書遺言」について説明します。
相続される方、遺言書に記載される方の皆様が納得する内容にすることが重要です。
自筆証書遺言で必要なこと
原則として遺言書は以下の約束を守って作成しなければなりません。
- すべての文章を自筆で書くこと(パソコン作成は不可)
- 作成した年月日、署名を書き、捺印すること
他にも条件がありますが、最低限守るべきことは以上のとおりです。
当然、相続について、法律を前提としてその内容が問われることはいうまでもありません。
ですので、遺言書を作成される際は、必ず、遺言書の決まりはもちろん、相続についての知識が必要となります。
遺留分を理解しておきましょう
遺留分については以前のコラムでも簡単に説明させて頂いておりますが、原則、直系卑属と配偶者。つまり、夫が亡くなった場合は妻とその子が遺留分権利者となり、それぞれの遺留分が決まっています。
相続権の有無を確認しよう
時々ご相談を受けるのが、亡くなった方のご兄弟が相続財産についてあれこれと口を出してくるといった内容ですが、亡くなった方に実子、また配偶者がいる場合は兄弟姉妹に相続権はありません。
亡くなった方に配偶者がおらず、また実子がない場合は、
- 直系尊属(亡くなった方の父母)
- 直系尊属がなければ兄弟姉妹
という形で相続権が移りますので、気をつけましょう。
▼こちらのコラムもぜひ参考にしてください。
相続、遺言 遺留分について覚えておこう
また、通常の相続以外にも「代襲相続」という制度があります。
民法887条第2項 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当(=相続欠格事由に該当)し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。
代襲相続については以下のコラムで詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。
▼詳しくはこちら
法定相続人がいない場合の代襲相続とは?
お世話になった方には「遺贈(いぞう)」で
- ご家族が遠方にお住まいなのでご近所の方にお世話になっていた
- ヘルパーさんが事細やかに介護をしてくださっていた
など、相続権のない方にお礼といった形で財産を分けたい場合は「遺贈」として残せるように遺言書に記載しておきましょう。
「遺贈」については民法でこのように規定されています。
(包括遺贈及び特定遺贈)
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。
民法964条
※遺贈については、また改めてコラムで説明したいと思います。
遺言書はデリケートだから慎重に
ここに説明してきた内容は、遺言書で気をつけることのごくごく一部です。
遺言書は単に、相続の方法を指示するものではなく、相続人の方の気持ちを汲み取り、亡きご自身の心情を理解して頂きながら執行してもらえることで、トラブルを最低限にすることができます。
逆に言えば、相続人の神経を逆なでするような内容になってしまうと、遺言書が元でのトラブルに発展してしまう、とても難しい存在でもあるのです。
遺言書はご本人、家庭を映す鏡のようなもので、それぞれの人生を反映した内容であるべきものです。必要に応じて、法律のプロに相談することも良い選択だと思います。
弁護士法人法律事務所DUONは、茨城県全域において、様々な相続、遺言などのご相談をお受けし、解決して参りました。
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